グローバル金融緩和を俯瞰する(浦崎)

●5年ほど前にWTIの原油先物価格が100ドルを超えた時があった。リーマンショック後のアメリカの金融緩和と中国の圧倒的需要が原因とのことであったが、投機的との印象だけが残った記憶がある。その後原油価格は中国の原則とともに半値の50ドルとなり、現在は30ドル程度である。半値の50ドルになったとき、多くの投資家がそこが底値だと思って大量に買い建玉を入れたので、結果としてそこに超えられない壁が出来上がったとみるべきだろう。
●これは新興国経済の状況も同様である。同時期に世界の大手企業が競って、安い緩和資金を活用してBRICS市場に進出したが、遠くから眺めていてもやや異常な状況だった。一昨年FRBが利上げの可能性を示唆したあたりから、相場は停滞に入り、昨年末に利上げを実施したことで、金融市場は一気に下落を加速したという現在に至る。
●100年に一度の暴落と言われたリーマンショックの処方箋として実施されたのが金融緩和であるから、現在生じているこの事態は誠に皮肉である。現状は、資源と新興国への無茶な投資が不良資産として世界中の企業のバランスシートを圧迫しているとみるべきだろう。解決のためには、不良資産の一掃・処理が進まない限り、根本的な解決は難しいとみるべきだ。
●今年はサウジアラビアの財政収支が赤字になるとの試算がある。原油に歳入の50%を依存してるロシアの国家予算は、原油価格50ドルで組まれている。米国のシェール企業は軒並み赤字であり、ベネズエラは破たんの危機にある。中国と日本は為替レートだけが頼みの綱で、両国ともに痛みを伴うような改革はできそうな気配がない。悪いニュースばかりが踊ってしまうことに対して、火をつけるような風聞だけを流すつもりもないが、一気呵成にグローバルレベルで不良債権処理を行わない限り、ダラダラと低迷は長期化しそうな気がしてならない。

アベノミクスの終わり(阿房)

●年明けからあちこちで悲鳴に近い叫び声を聞きました。株は下がるし、景気も良くない。あれ、アベノミクスとかなんとかがうまいこと機能してくれているんじゃなかったんですかと、一杯飲み屋で詳しそうなサラリーマン風の中年男性に聞きますと、いやいやあれは黒田さんが大砲を打っただけで、実際の経済実態には結局なんの影響もなかったんだって話なんだとか・・・。
●それが新興国の成長鈍化とか、欧州の銀行がやばいとか、産油国が財政危機だとか云々を背景にして、一斉に世界の空売り専門家が株を売っているとのこと。空売りする目つきの鋭い専門家も好みではありませんが、リフレ政策とか何とか言って、結局為替レートいじりだけに終始してしまった日本もよくありません。金融政策とかいう魔法の杖にまただまされちゃったという、日本中のおじさんたちの憎悪が、いま一杯飲み屋にあふれているのであります。
●悲観的になりすぎるのも阿房の好みではありません。しかし生命保険を株式で運用している哀れな阿房の現状を考えると、簡単にほほ笑むこともできません。数年前に民主党に失望した阿房は、ついに自民党にも深い怒りが芽生えてきてしまいました。こういう局面に、次の選挙でトランプや、ヒトラー、スターリンのような政治家が出てきたら、つい一票入れてしまいそうなのは、阿房一人だけではないでしょう。

銀座の街に年増のゾンビ・ママが蘇る(阿房)

●大河ドラマでおなじみの時代設定は戦国時代です。宗教も中世の規制もものともせずに、次から次へと首を跳ね飛ばす織田信長のような人がまず登場して、その後秀吉が耕し、最後にガマンのおじさん家康が天下を平らげる、とまあそんな画一的な構図なのに、毎度大変な人気です。不思議だなあと思って、某局の関係者に飲み屋で質問をしたことがありました。
●”そりゃあ、現実とかけ離れてるからじゃないの~、阿房さん”というのは政策現場でいまだにメガホンをとる知人。何でも歴史だろうとなんだろうとドラマっているのは夢を売る商売なんだそうです。”たとえばさ、信長が比叡山なんかを焼き討ちにしちゃうでしょ、ああいうの今の日本の首相とか自民党なんかにできるわけないわけよ。今の政府なんかどこの政党から首相出したって、足利幕府みたいなものしか作れないって、みんなわかっちゃてる気がする・・・。だから魔王になって世の中の根幹を崩してでも新しい世界をつくろうっていう登場人物に夢があるんじゃないかな”。
●う~ん、なるほどの一言です。言い換えれば現在の与党が選挙前に言っていたスローガン、”日本を取り戻せ”っていうのは、知人の言葉を借りて当てはめちゃうと、”日本に中世を取り戻せ”ってなことになりますね。一度消滅したはずの利権集団が復活して、生きてる人々の内蔵を食いちぎってく感じ、今ありますねえ、くわばらくわばら・・・。経済が一丁目、一番地とかいう話もあったけど、いつの間にか集団的自衛権なんか議論してるからねえ、なんたって。気がつかないうちに、補助金ジャンキー産業なんかが蘇って、飲み屋とかキャバクラあたりに行くと、そんな連中ばっかりはしゃいでる始末だしねえ。本当に困った・・・。
●そんな話を銀座のなじみのバーのママに話したところ、”そんなこと言わないでよ、阿房ちゃん、あたしもそのゾンビの一人なんだから~”。そういえば一昨年の春頃、店をたたもうかといっていたママさん、去年から突然化粧は濃くなり、こっそり客単価を値上げしたり、バーキンで何十万もつかったり、やりたい放題だったような・・・。そうかこれがアベノミクスの本当の姿なのか、そう思っちゃったわけです。
●年増のママさんの復活を支援してくれたアベノミクスですが、ママさんはともかく、貧乏暇なしの阿房のような男性客に言わせてもらうと、そりゃあ世代交代でもしてもらって、モモクロみたいなチーママがいる店にでもしてもらったほうがよかったなー、とつい本音がもれてしまいます。ママさんは再び、フランク永井を歌い、タクシーで帰る建設会社の社長を和服で送り迎え、週末は馴染みとゴルフの打ちっぱなしというサイクルに入り、わたくし阿房はモモクロを求めて、場末の安いキャバクラを寝床にする生活に戻ることになりそうです。いやあ困った、困った・・・。

黒田総裁発言に失望→アベノミクス終焉の始まりか(久里田)

●今日の日銀黒田総裁の会見を眺めながら、アベノミクスの終わりを感じました。特に気になったのはインフレ目標2%を確信しているというコメントです。輸入物価の高騰だけが一人歩きしている昨今、消費増税の影響も見えない中で”確信”などという表現を使うのは、日銀責任者としてのプライドと、何の政策的前進もない政府側への無言の抵抗、そして俺の責任じゃないからという官僚的な気取りそのものだと感じたのです。
●日銀からすればまあそうかもしれません。中央銀行として空前絶後の規模で金融緩和をやったのですから・・・。しかし政府側といえば、成長戦略はアウトプット不明。TPPも成果なし。経済の問題も収束しないのに、集団的自衛権がどうのこうのという体たらくです。日銀に金融緩和だけさせときゃいいんだという風に見えます。ジャブジャブお金を市中銀行に流したところで、投資対効果の査定に厳しい銀行の融資担当者からみて、おめがねにかなう融資案件は登場しません。お札の束だけがつみ上がってしまいそうな気配です。
●そんなことをしているうちに、世界経済はすっかり調整ムードに包まれています。本日の終値で日経平均を眺めてみると、月足MACD(下段)がもうすぐデッドクロスしそうです。勿論米国やウクライナ問題、新興国市場の不安などの諸問題もあるかと思いますが、欧米は順調に成長、日本株はロシア株なみに下落基調から脱出できない状況となっております。例えはよくないですが、プーチン並にアベノミクスは見放され始めたとみたほうがよいのではないかと考え始めております。
●ただでさえ今年は消費税をさらに10%にあげるかどうか見極めるという大イベントもあります。景気弾力条項も設定されているものの、見直すとなれば再び国会でああだこうだと議論しないといけないという法案になっています。成長戦略や規制改革・TPPなどと同様、何だかアウトプットもなく、時間だけが過ぎて、結局増税して補正予算で穴埋めしますということになりそうで、非常に嫌な予感がしております。
●あと数ヶ月から半年近くたって、ああ4月(或いは5月)までがアベノミクスでしたねえ、といったような会話を知人たちとする羽目になるような気がして、何だか落ち着きません。少なくとも本日の黒田総裁の発言を聞いて、しばらく日本の金融資産に投資する意欲を失ったのは、私だけではないでしょう。

日本型デフレの根幹には超高齢化社会への不安あり(阿房)

●近所にもうすぐ九十歳になろうとしているジジ様がおります。朝からラジオ体操をして、九時からは株式取引、夕方にはよく我が家へやって来て麻雀などをやります。かなりのつわものなので私は殆ど勝てません。もともとバブルピーク時までに財産を築き、その後経済に反比例するように資産を倍増させてきたこのジジ様のことなので、少しくらい負けを見逃してくれてもよさそうなものですが、借金の取り立てはまさに鬼のようであります。月末にでもなれば、給料はまず妻に根こそぎ奪われ、ちょっぴりのお小遣いもこのジジ様への返済に充てるという始末。いやいや参りました。
●しかしこの憎々しいジジ様、一度深酒をしておりましたら、結構な弱気ものだということがわかりました。何でも老後が心配なんだとか。老後たってもうすぐ九十で、何が不安なんですかとたずねると、アルツハイマーなんかになった時誰も助けてくれんからな・・・ってなことらしい。それを考えると財産は一円でも多くもっとったほうがよろしいがな・・・と。そんなこといったら、そもそも貯金も殆どなく、妻や娘、放蕩息子の金づるとして微かに生きている阿房などどうなってしまうんでっか・・・。
●まじめにジイ様の立場になってみるとそうかもしれません。いろいろ食べ物もよくなって長生きすればするほど、何だかカネもかかるし、いくらあってもお金の不安が去らない。アベノミクスって馬鹿騒ぎしたところで、90歳のジジ様に20代の若者のように元気に働く雇用の場があるわけもない・・・。そうなれば、節約するしかありません。どんなに日銀が資金供給したって、ジジ様は超デフレ志向からは変わらないのであります。阿房が万年金欠病だといったところで、一切聴く耳なし。ドストエフスキーも真っ青になるような金貸しの顔になるわけです。
●景気が多少よくなったとしても、こんな超高齢化社会の実態があるってことを、日銀の黒田さんや、安部首相は果たしてわかってくれているんでしょうか。非常に不安です。金融緩和策だけじゃなくて、65歳以上の社員だけの株式会社の法人税をゼロにするとか、90歳の老人と毎週麻雀をする金欠病の中年に対する特別補助金の支給制度なんかを、この際政府にお考えいただきたいところですな~。これ以上ジジ様がケチになり、サラ金の取立て並みにジジ様が怖くなりますと、阿房のような小市民がますます生きにくい世界になってしまうのであります。

阿房久太郎の年末ぶらり・アベノミクス(阿房)

●年末はとても忙しい毎日でござります。仲間が京都にいるというので、お茶屋に回遊して祇園に出撃。大散財でございました。反省する間もなく江戸に戻り、茨城空港を経て上海へ。”上海食い倒れ万歳”とかいう謎の企画を超エコノミーな取材費でこなせという某編集の指示もあったので、飛行機は徹底的にLCC、食い物だけ上海一のものに投資するというコンセプトだったはずなのですが・・・。人間食い物を一流にしてしまうと、財布の紐が緩んでしまい、当方魯山人なみに止め処もなく予算を超過して文化人ぶりを発揮してしまったのです。
●さて怒ったのは細君。おりしも久しぶりに同窓会であった友人たちの、あでやかなアベノミクスぶりに圧倒されてきたところで、阿房家の困窮ぶりに嫌気がさしてきたところだったようです。昼から赤い顔をして出張から帰ってきた私阿房の顔を眺め、水揚げの殆どを上海の夜の街に還元してしまった話を聞くと、まあ怒るわ、殴りかかるわの大惨事。酔いが一気にさめてしまいました・・・。当方アベノミクスよりも、やはり”ゲゲゲ”とか”ジェジェジェ”の方が相性がよさそうです。
●しかしこの日本列島。どこへいってもアベノミクスだらけです。株でにわか金満家になった皆様の醜態・・・、すごいです。自慢話を聞いてあげるだけで、飲み屋のママさんは大もうけ。儲かりすぎたので、お金を隠す算段に必死です。何でも4億円の所得を隠すために、宝くじの一等を、わざわざ4億5千万円で買うんだとか・・・。
●また去年までべそをかいていた中小企業社長連中もすごいです。社員をこき使ってももうからんとか何とかいっておきつつ、ちゃっかり持っていた社内留保や大口顧客の株券が大ブレイク。現ナマ収支のほうはバッチリ大黒字なくせに、積年の負の遺産をこっそり損金処理して、法人税は今年も払わんゾー、などと飲み屋でニヤニヤしておりました。いやですなー、タコ親父。
●哀れなのは、この瘋癲阿房や、こき使われる使用人の皆様ですなー。給料は結局上がってないし(あってもすずめの涙で)、賞与はちょっと増えたけど、全額家庭に寄付。情けなさで涙がとまりません・・・。飲み屋で成金殿の皆様を盛り上げる幇間として生きたほうがいいんじゃないのー等というママさんの言葉、ひょっとしたら真に受けちゃうかもしれません。トホホ。
●そんな不幸の典型、阿房家は明日から修善寺です。アベノミクスの影響で、金もないのに、正月の細君の負担を軽減するとかなんとかいって、年末の出費が意味なくグレードアップ。家族サービスまでインフレ気味になるのは勘弁してもらいたいですなー。信頼できるのは、妻でもなく、パンクに狂った娘でもなく、当家の一匹の猫、トラジロウであります。どんなに最低な阿房でも、この猫はニャーといってくれます。アベノミクスになろうとも一度も文句も言わず、淡々としております。夏目漱石の気持ちわかりますなー。

消費増税決定はアベノミクス終焉の始まりか(久里田)

●消費増税決定の首相演説を眺めて大いなる失望感を覚えました。そもそも昨年法案が可決された時にも感じたのですが、景気弾力条項が中途半端な代物で、増税比率の見直しには再度法案の提出が必要という、きわめて世間を煙にまいたような内容であることです。再度国会で大審議することが現実的に難しいことを踏まえた策略のような法案であるのです。
●この点について、ヒアリング対象となった有識者諸兄の意見の具申の仕方も中途半端で、、”一度決まったことを変更すると国際的な信認を失墜するので・・・”という答えばかりでした。財政面から言えばその通りですが、デフレからの脱却という至上命題からすれば、”景気は腰折れするかどうか”という一点のみで答えを要求すべきだったのではないかと私は考えています。単に世論形成を目指すための、誘導尋問形式だったような気がして、個人的には政府関係者と有識者への不快感をぬぐいきれません。
●今後の注目ポイントは、成長戦略に絞られるでしょう。日銀の追加緩和は十分にありうるシナリオですが、そもそも緩和するだけでは、市中銀行に意味不明なお札の山が積まれ、これまたナンセンスな不動産バブルが起こるだけでしょう。投資や貸出の対象となりうるビジネス機会そのものが、具体的に見えてこないと、銀行家というものは一円も貸してくれません。この点、銀行とあれこれ接点を持ってきた私の経験論からすれば間違いありません。今後発表される内容次第ですが、ここまで聞こえてきている特区等の規制緩和だけではとても追いつかないのはまちがいありません。
●話をもとに戻しましょう。景気の腰折れ懸念は確実に高まってしまった一方、財政赤字の方はいったいどうなるのでしょうか。歯止めの利かない医療費の増大を考えると、歳出抑制策が示されないと、こちらも焼け石に水と映ってしまいます。デフレ脱却も財政赤字もともに不透明という極めて不安な状況を作ってしまっているように、私には思えてなりません。
●従って昨年11月頃から始まったアベノミクスも一旦これで終わりだとみてよいと思います。現時点では60%以上の支持率があるようですが、株高政権の宿命として、株価の低下をきっかけに、等比級数的に弱体化するのではないでしょうか。すべては成長戦略次第ですが、内容も方向性も、次の政権スタッフ中心で進めたほうがよいと私は考えています。

岩戸景気以来という株式市場の動きを見る(浦崎)

●昨日証券業界の新聞を読んでいますと、昨年11月から日本の株式市場は12週連続で陽線(すなわちプラス)であるとのことです。これは日本の歴史上1958年から1961年までのイケイケ経済(いわゆる岩戸景気)以来とのことのようで、兜町関係者等の間ではちょっとした話題です。
●しかしこの岩戸景気の時代というのは、経済成長率が11%~12%もあった時代ですから、現代の景気の実感からすると、何ともピンとこない比較対象です。現代はどちらかといえば下り坂で、しかもここ十年・二十年の間というのは地を這うような話題ばかりが先行してきましたから、まあ無理もないことでしょう。
●話をもとに戻しましょう。事の根幹はどうやら世界的な金融緩和の中で、日本だけが消極的スタンスにあったということにつきるかもしれません。所謂アベノミクスなのですが、FRBと同様にインフレターゲットと無制限緩和策を打ち出しただけで、為替は急激に円安に振れ、株高という結果になっているわけです。輸出志向型製造業(特に輸送機器)に一気に損益改善傾向が現れ、瞬く間に関連産業にその好影響が及んでいる。第三四半期の決算を見る限り、そういう印象が顕著です。
●ただ反面、その恩恵を受けても簡単には改善しそうにない業界というのも明らかになってきました。家電・ハイテク業界です。デジタル化・コモディティ化・PC離れという3つの波が及んでいるこの業界では、構造的に商品と付加価値のあり方を変えなければ生き残れない世の中になっているようです。具体的には、テレビ・液晶・半導体・パソコン・デジカメ等に関わる産業はほぼ百パーセント採算が悪化しています。
●決算内容を見ても、本業の実力を示す営業利益の悪化は隠しようもなく、構造改革などと言って、販管費を削減したり、不採算部門を売却する、或いは不動産売却益で最終損益にお化粧をしている企業ばかりです。本業の幹になる商品の価値に継続性・将来性が全く見えてきません。非常に暗い気持ちになります。
●政府や日銀がこれほど本気になって景気改善に取り組んでいる中で、民間セクターとしては、やはり家電・ハイテク産業の復活・再生がこれからの最重要キーワードになるでしょう。奇策はないという経営者もいますが、やはり革新的な商品を(元)ものづくり大国として生み出す気概が必要になると思います。世の経営者がリストラばかりに血道を上げているのとは別に、技術と商品をコツコツ究めようとする人々が必要なのだろうと、個人的には考えている次第です。