世界一の横紙破りは世の中を何処に連れ去るのか(阿房)

●世の中には”横紙破り”と呼ばれる役回りがあるようです。ふすまの紙をベリベリとはがすように破る係という意味らしい。これといって特別な力量や才覚が必要ではないですが、普通の人々が礼節や常識に基づいて丁寧な対応しかできないときに、大きな顔をして厚顔無恥に登場することが求められます。
●企業・労働組合・自治会・政治家・総会屋等に時折こうした人種を拝見します。声が大きくて、論法は頭から水をかけるような否定から話を始める特性があり、議論には一切応じることがない・・・。破壊と畏怖を与えたあと、相手が弱気になってから話を自分の有利な方向に誘導しようとする傾向がある・・・。砂漠のバザールでラクダ売りたちがこういう技を戦わせるのを見ている内は結構愉快ですが、最近は国際政治の舞台にも登場するから、笑ってばかりもいられません。
●現在世界一の横紙破りは合衆国大統領でしょう。確かに品のいいオバマとは違う。何が何でも公約を実現していい恰好をしたいから、為替レートには口を出すし、プーチンや北朝鮮のような相手をほめてみたり(自国の情報機関は間違いだと言ってみたり)、保護主義こそ最善だと発言したりする・・・。
●要するに実態は壊し屋で無礼千万な存在として鼻をつままないといけないのですが、どっこい世の中にそれなりに求められている部分があるので、次々に活動領域を広げている。現在の世界と合衆国の状況はそのようなものでしょう。
●このままいくと、自由貿易・変動相場制・NATOを中心とする欧州の安全保障・中東和平・東アジアの安全保障などの全てが一旦ゼロクリアされそうです。アメリカが一番になれるなら中国はなくなっても構わないし、地球環境が壊れたっていい。メキシコ・カナダ・EU・日本の各国は貿易赤字がゼロになるならいいけど、そうでなきゃ我儘を只管飲み込んでもらうから宜しくねっと言われているような気がいたします。
●ただこの手の壊し屋さんの危険なところは、更地になったあとの新しい建物をどのように作るのかについてあまり深く考えていないことです。世界中が貧乏でも自分の国の経済成長が益々絶好調を維持できると本当に信じているのでしょう。このままいきますと必要悪を超えたところまで連れていかれて、挙句の果てに本業のラクダ売りに戻るから、あとは自分たちで決めてね・・・というような状況に世界が追い込まれるのではないでしょうか。
●阿房が飲み屋でそのように暴言を吐きますと、ちょっとエリート風のおじさま方は、「いやあ阿房さん、トランプもそこまで阿呆じゃないでしょう。ビジネススクールも出てるしさあ~。」といいます。しかしエリートの皆様はいつもこうした大権の持ち主を過大評価し過ぎるので、過去にも「スターリンは実は大人物だから対日参戦しないんじゃないの。」とか、「ヒトラーはズデーデン地方を認めてやればチェコやポーランドには侵攻しないだろう。」とか思い込むようになってしまうのです。この阿房は阿呆なので、言っていることとやっていることをそのままの姿で理解するので、今回も中国とはいくとろこまでいくと理解しております。
●阿房はただの阿呆で中国共産党の手先でもなんでもありませんが、現在の合衆国と中国の激突について、日本政府もただ静観しているだけでは、横紙破りによって太平洋貿易を封鎖される可能性すらありえます。阿房はこの目で中国に進出している巨大企業の多くを見ているので、そうした企業の業績悪化が顕在化すれば、金融市場のクラッシュも十分にありえるのではないかと考えているのであります。

確率100%の世界(阿房)

●海外のギャンブルに詳しい知人に言わせると、”絶対に負けない”と豪語するギャンブラーはいないらしい。プロは勝率が多少勝っている程度だと控えめな人物が多く、ビギナーズラックだけの人はそのうち手ひどい目にあって、雲隠れしてしまう。たまに本当にそういう人が現れても、それは本物のイカサマ師か詐欺師と見抜かれる羽目になり、結局長生きしないということです。
●阿房は阿呆ですが、このイカサマ師を見抜くことだけは得意です。例えば先年、やたらに外面がいい中年紳士が、「私は絶対に失敗しませんから・・・」といって投資を募っていたことがありました。近所に住んでいた小金持ちの御婆ちゃんお爺ちゃんはすっかりその気になって、コロリとやられました。人生に散々翻弄されつ続けている阿房は、この”絶対”という言葉に嫌な予感がしたので(勿論投資するお金もありませんが)、だんまりを決め込んでおりました。案の定、この中年紳士、何億円も持ってシンガポールへ逃げてしまいました。
●しかし、冷静に考えればわかるのに、守銭奴のオニババであるうちの大家まで、コロリとやられる理由は、その詐欺師が最後に逃亡するまでの報告書で、確率100%でリターンをあげていたからです。 敗戦は隠ぺい、勝利は高らかに報告って、そりゃないだろと思いますが、詐欺師はこんなトリックは得意とするところなんですね。阿房のような阿呆にはできない芸当です。
●まあ確率100%というのは、そんな世界なのです。飲み屋仲間で、大学の物理の先生をやってるおじ様によれば、新たな発見を裏付ける”100%再現するデータ”というのも同じようなものらしいです。人間の欲望とか願望が、100%にしてしまうわけで、実際の確率との差分を、人為的に埋めるちゃうことになる、とまあそういうことです。
●しかし先に紹介したうちの大家ですが、昨今のトランプラリーとかいう、アベノミクスの延長戦か、レーガノミクスの亡霊みたいな話で、大金をもうけたらしいです。頻繁に出入りしている証券会社の営業マン君には、”間違いないですから騙されたと思って・・・”と大家は言われたらしく、私にまで猛烈にアタックしてくる始末。「それで確率は?」と阿房が質問すると、「60%くらいですかね~」とこの営業マン君、なかなか慎重です。「よしそれなら投資しよう!」と勢いよく言ってしまったこの阿房、相変わらず単細胞でまた細君に説教をされました。

アベノミクスの終わり(阿房)

●年明けからあちこちで悲鳴に近い叫び声を聞きました。株は下がるし、景気も良くない。あれ、アベノミクスとかなんとかがうまいこと機能してくれているんじゃなかったんですかと、一杯飲み屋で詳しそうなサラリーマン風の中年男性に聞きますと、いやいやあれは黒田さんが大砲を打っただけで、実際の経済実態には結局なんの影響もなかったんだって話なんだとか・・・。
●それが新興国の成長鈍化とか、欧州の銀行がやばいとか、産油国が財政危機だとか云々を背景にして、一斉に世界の空売り専門家が株を売っているとのこと。空売りする目つきの鋭い専門家も好みではありませんが、リフレ政策とか何とか言って、結局為替レートいじりだけに終始してしまった日本もよくありません。金融政策とかいう魔法の杖にまただまされちゃったという、日本中のおじさんたちの憎悪が、いま一杯飲み屋にあふれているのであります。
●悲観的になりすぎるのも阿房の好みではありません。しかし生命保険を株式で運用している哀れな阿房の現状を考えると、簡単にほほ笑むこともできません。数年前に民主党に失望した阿房は、ついに自民党にも深い怒りが芽生えてきてしまいました。こういう局面に、次の選挙でトランプや、ヒトラー、スターリンのような政治家が出てきたら、つい一票入れてしまいそうなのは、阿房一人だけではないでしょう。

銀座の街に年増のゾンビ・ママが蘇る(阿房)

●大河ドラマでおなじみの時代設定は戦国時代です。宗教も中世の規制もものともせずに、次から次へと首を跳ね飛ばす織田信長のような人がまず登場して、その後秀吉が耕し、最後にガマンのおじさん家康が天下を平らげる、とまあそんな画一的な構図なのに、毎度大変な人気です。不思議だなあと思って、某局の関係者に飲み屋で質問をしたことがありました。
●”そりゃあ、現実とかけ離れてるからじゃないの~、阿房さん”というのは政策現場でいまだにメガホンをとる知人。何でも歴史だろうとなんだろうとドラマっているのは夢を売る商売なんだそうです。”たとえばさ、信長が比叡山なんかを焼き討ちにしちゃうでしょ、ああいうの今の日本の首相とか自民党なんかにできるわけないわけよ。今の政府なんかどこの政党から首相出したって、足利幕府みたいなものしか作れないって、みんなわかっちゃてる気がする・・・。だから魔王になって世の中の根幹を崩してでも新しい世界をつくろうっていう登場人物に夢があるんじゃないかな”。
●う~ん、なるほどの一言です。言い換えれば現在の与党が選挙前に言っていたスローガン、”日本を取り戻せ”っていうのは、知人の言葉を借りて当てはめちゃうと、”日本に中世を取り戻せ”ってなことになりますね。一度消滅したはずの利権集団が復活して、生きてる人々の内蔵を食いちぎってく感じ、今ありますねえ、くわばらくわばら・・・。経済が一丁目、一番地とかいう話もあったけど、いつの間にか集団的自衛権なんか議論してるからねえ、なんたって。気がつかないうちに、補助金ジャンキー産業なんかが蘇って、飲み屋とかキャバクラあたりに行くと、そんな連中ばっかりはしゃいでる始末だしねえ。本当に困った・・・。
●そんな話を銀座のなじみのバーのママに話したところ、”そんなこと言わないでよ、阿房ちゃん、あたしもそのゾンビの一人なんだから~”。そういえば一昨年の春頃、店をたたもうかといっていたママさん、去年から突然化粧は濃くなり、こっそり客単価を値上げしたり、バーキンで何十万もつかったり、やりたい放題だったような・・・。そうかこれがアベノミクスの本当の姿なのか、そう思っちゃったわけです。
●年増のママさんの復活を支援してくれたアベノミクスですが、ママさんはともかく、貧乏暇なしの阿房のような男性客に言わせてもらうと、そりゃあ世代交代でもしてもらって、モモクロみたいなチーママがいる店にでもしてもらったほうがよかったなー、とつい本音がもれてしまいます。ママさんは再び、フランク永井を歌い、タクシーで帰る建設会社の社長を和服で送り迎え、週末は馴染みとゴルフの打ちっぱなしというサイクルに入り、わたくし阿房はモモクロを求めて、場末の安いキャバクラを寝床にする生活に戻ることになりそうです。いやあ困った、困った・・・。

日本型デフレの根幹には超高齢化社会への不安あり(阿房)

●近所にもうすぐ九十歳になろうとしているジジ様がおります。朝からラジオ体操をして、九時からは株式取引、夕方にはよく我が家へやって来て麻雀などをやります。かなりのつわものなので私は殆ど勝てません。もともとバブルピーク時までに財産を築き、その後経済に反比例するように資産を倍増させてきたこのジジ様のことなので、少しくらい負けを見逃してくれてもよさそうなものですが、借金の取り立てはまさに鬼のようであります。月末にでもなれば、給料はまず妻に根こそぎ奪われ、ちょっぴりのお小遣いもこのジジ様への返済に充てるという始末。いやいや参りました。
●しかしこの憎々しいジジ様、一度深酒をしておりましたら、結構な弱気ものだということがわかりました。何でも老後が心配なんだとか。老後たってもうすぐ九十で、何が不安なんですかとたずねると、アルツハイマーなんかになった時誰も助けてくれんからな・・・ってなことらしい。それを考えると財産は一円でも多くもっとったほうがよろしいがな・・・と。そんなこといったら、そもそも貯金も殆どなく、妻や娘、放蕩息子の金づるとして微かに生きている阿房などどうなってしまうんでっか・・・。
●まじめにジイ様の立場になってみるとそうかもしれません。いろいろ食べ物もよくなって長生きすればするほど、何だかカネもかかるし、いくらあってもお金の不安が去らない。アベノミクスって馬鹿騒ぎしたところで、90歳のジジ様に20代の若者のように元気に働く雇用の場があるわけもない・・・。そうなれば、節約するしかありません。どんなに日銀が資金供給したって、ジジ様は超デフレ志向からは変わらないのであります。阿房が万年金欠病だといったところで、一切聴く耳なし。ドストエフスキーも真っ青になるような金貸しの顔になるわけです。
●景気が多少よくなったとしても、こんな超高齢化社会の実態があるってことを、日銀の黒田さんや、安部首相は果たしてわかってくれているんでしょうか。非常に不安です。金融緩和策だけじゃなくて、65歳以上の社員だけの株式会社の法人税をゼロにするとか、90歳の老人と毎週麻雀をする金欠病の中年に対する特別補助金の支給制度なんかを、この際政府にお考えいただきたいところですな~。これ以上ジジ様がケチになり、サラ金の取立て並みにジジ様が怖くなりますと、阿房のような小市民がますます生きにくい世界になってしまうのであります。

阿房久太郎の年末ぶらり・アベノミクス(阿房)

●年末はとても忙しい毎日でござります。仲間が京都にいるというので、お茶屋に回遊して祇園に出撃。大散財でございました。反省する間もなく江戸に戻り、茨城空港を経て上海へ。”上海食い倒れ万歳”とかいう謎の企画を超エコノミーな取材費でこなせという某編集の指示もあったので、飛行機は徹底的にLCC、食い物だけ上海一のものに投資するというコンセプトだったはずなのですが・・・。人間食い物を一流にしてしまうと、財布の紐が緩んでしまい、当方魯山人なみに止め処もなく予算を超過して文化人ぶりを発揮してしまったのです。
●さて怒ったのは細君。おりしも久しぶりに同窓会であった友人たちの、あでやかなアベノミクスぶりに圧倒されてきたところで、阿房家の困窮ぶりに嫌気がさしてきたところだったようです。昼から赤い顔をして出張から帰ってきた私阿房の顔を眺め、水揚げの殆どを上海の夜の街に還元してしまった話を聞くと、まあ怒るわ、殴りかかるわの大惨事。酔いが一気にさめてしまいました・・・。当方アベノミクスよりも、やはり”ゲゲゲ”とか”ジェジェジェ”の方が相性がよさそうです。
●しかしこの日本列島。どこへいってもアベノミクスだらけです。株でにわか金満家になった皆様の醜態・・・、すごいです。自慢話を聞いてあげるだけで、飲み屋のママさんは大もうけ。儲かりすぎたので、お金を隠す算段に必死です。何でも4億円の所得を隠すために、宝くじの一等を、わざわざ4億5千万円で買うんだとか・・・。
●また去年までべそをかいていた中小企業社長連中もすごいです。社員をこき使ってももうからんとか何とかいっておきつつ、ちゃっかり持っていた社内留保や大口顧客の株券が大ブレイク。現ナマ収支のほうはバッチリ大黒字なくせに、積年の負の遺産をこっそり損金処理して、法人税は今年も払わんゾー、などと飲み屋でニヤニヤしておりました。いやですなー、タコ親父。
●哀れなのは、この瘋癲阿房や、こき使われる使用人の皆様ですなー。給料は結局上がってないし(あってもすずめの涙で)、賞与はちょっと増えたけど、全額家庭に寄付。情けなさで涙がとまりません・・・。飲み屋で成金殿の皆様を盛り上げる幇間として生きたほうがいいんじゃないのー等というママさんの言葉、ひょっとしたら真に受けちゃうかもしれません。トホホ。
●そんな不幸の典型、阿房家は明日から修善寺です。アベノミクスの影響で、金もないのに、正月の細君の負担を軽減するとかなんとかいって、年末の出費が意味なくグレードアップ。家族サービスまでインフレ気味になるのは勘弁してもらいたいですなー。信頼できるのは、妻でもなく、パンクに狂った娘でもなく、当家の一匹の猫、トラジロウであります。どんなに最低な阿房でも、この猫はニャーといってくれます。アベノミクスになろうとも一度も文句も言わず、淡々としております。夏目漱石の気持ちわかりますなー。

お金が踊ればキリギリスも踊る(阿房)

●難しいことはわかりませんが、どうやら株式市場が活況のようです。兜町に程近いうなぎ屋であるとか、一人前5000円くらいは軽くいっちゃう有名蕎麦屋なんかにうっかり入りますと、その筋の方々が赤い顔をして歓談しております。バブル時代を多少知っている阿房からしても、当時よりもなんだか健康的な感じです。長いトンネルを抜けてきたからでしょうね、きっと。
●お金の流れが好循環となると、阿房のような文化的なマイノリティからしてもよい時代になります。世間が貧乏で保守的であると、幇間のように世の中を楽しませる役目を負っている我々も、何だか得体の知れない奇妙な動物のような扱いを受けるのですが、ちょいと成金のような皆様が登場するようになると、そんな奇抜さを酒の肴に一杯やるという風潮が生まれるようになるからです。変わってるね~、おもしろいねえ、というのがほめ言葉になっちゃうわけです。
●深刻さを競いあうのもつかれちまうなあ。じゃあそろそろちょいと気の利いた都都逸でもひとつ、という具合に宴会を盛りあげてもいい時代になったということでしょう。長い間アリさんに負け続けてきたキリギリスってなところですが、得意技をようやくご披露させていただいて、束の間の短いを春を楽しませてもらわなきゃね。
●売れないフリーライター、世間に奇人扱いを受けてきたサイ科学研究家、荒俣・水木の両先生なみの貧乏変人の皆さん、そろそろ我々キリギリスが登場する出番ですよ。長いデフレ時代の冬眠から目覚めて世間様を楽しませてやろうじゃあ、あ~りませんか。

消費増税の先にあるものや如何に(阿房)

●消費増税の件が国会を通過しました。国会はもう解散風が吹いて、さていつ選挙が行われるかといったところでしょう。しかし1国民からすれば選挙などよりもまずはこの増税ということの先にあるもののほうが気になります。国家戦略会議が議論している日本の成長戦略は全く国際競争力として世界で勝ち残れるような気がしないし、なんとなく言葉が官僚臭くて実態が伴わないように見えてきます。ややうがった見方をすると、民主党の好きな”有識者”という名前のビジネスマン達が己が利益の誘導のために暗躍しているようにしか見えてきません。正直非常に不安になります。
●明治維新の時に新政府が描いた富国強兵路線、第二次大戦後の高度経済成長などとの比較でみても、まったくものになりそうな気がしません。正確にいうとものになりそうな気がしないという意味では、明治時代の富国強兵策のほうがはるかに困難に見えたはずなのですが、政府・財界の取組姿勢という観点でみれば、現在の成長戦略はやる気とか雰囲気においてまったく成功する気になりません。3つの比較でいえば結局のところ今の成長戦略ほどヴァーチャルで責任所在の曖昧ななものはないということなのです。
●バブル経済崩壊後の時間は二十年を超えました。当時から存在する政治家各位は所属は変われどまあそのまま横滑りといったところです。一方民間では金融機関の大物だけでなく、家電の大手も風前のともしび。自動車は海外進出が加速して国内は空洞化といったことで、昔日のプレーヤーは実態としてすっかり変わっている、まあこんな状況です。増税と財政規律の強化まではまあそういう政治家でもよいのでしょうが、成長・発展ということを考えたいなら、新しい時代に相応しい登場人物が必要でしょう。
●かつて幕末日本で徳川家を首班とする新政府を考えた人たちがおりました。どちらかといえばこちらのほうが主流派でしたが、徳川の古い因習にとらわれた組織・人物を流用すると何事も発展は生まれないとの、少数派の意見が通り明治新政府ができることになります。下手な経験重用論よりも、根源的なエネルギーのあるルーキーを登場させるほうが日本のこれからの成長には起爆剤となるのではないかと、わたくし阿房は考えるのであります。

阿房久太郎のアナクロ富国論~(4)医療大国の謎

●新年度の予算案のことをあれやこれやマスコミで評価しています。900兆円レベルに達する国の借金の問題にどのように対処するか処方箋もなく、再び歳入を歳出が圧倒的に上回っている形になっているからでしょう。
●そういう議論の中でいつも本当に不思議なのは医療費や社会保障費の類についての議論です。公共事業は減らすとかご立派な議論があるのですが、医療費自体は聖域のような存在で、リストラめいたコスト削減については議論自体がタブーであるようなのです。増えるのが当たり前で、世のため人のためとか言って、今年度にはついに38兆円も国庫から支出しています。歳入が42兆円しかないのにです。
●金額規模でいうと、鉄鋼業界とか、パチンコ業界よりも大きく、更にそうした産業が景気悪化で縮小しているにもかかわらず、医療費(即ち医療業界)は拡大し続けているわけです。2002年あたりから30兆円を超えてきたのですが、わずか8年程度で更に8兆円も増えているので、とてつもない上昇カーブです。
●不思議なのは、そういう拡大基調をたどっているにもかかわらず、医療業界というのはある意味での不況産業になってきています。病院の破綻・再生案件というのは、新聞などで明らかになるものは氷山の一角で、金融機関等において継承されるものを含めれば毎年等比級数的に増加しています。業界のパイがこれだけ広がっているのに、何故これほど経営に躓く病院の数が増えるのでしょうか、誠に不思議なことです。
●市場が大きくなるのに、病院も儲からない、医者も看護士も減少傾向というのが現在の日本の医療現場の姿であるわけです。そういう間逆の市場というのは、天然記念物なみに他には存在しない類のものです。厚生労働省が全ての病院市場の管理・監督を牛耳っているからなのかどうかまだ詳しくは調べきれていませんが、相当厄介で困ったマーケットになっているのは事実です。この領域で、国民向けのポピュリズムを旗頭にやたらめったら国費投入を叫ぶ政治家にも困ってしまいますし、儲からないといって嘆いている病院経営者にもなにやら同情の余地はないなと思ってしまいます。根本的にあらゆるプレーヤーが不幸になっているこの市場の問題解決を放置して、財政健全化論も意味を成さないなと、改めて思ってしまう次第です。

阿房久太郎のアナクロ富国論~(3)空港発着料の無料化

●羽田の国際化・24時間化くらいで驚いてはいけません。まだ生ぬるいといってよいでしょう。沢山作りすぎた空港をそれなりに活用していくためには、この際発着料の無料化まで考える必要があります。
●そもそも空港発着料ってなによというところから考えるべきです。空港はそれなりに維持費がかかるので、飛行機の発着回数に応じて、分担してもらおうっじゃないの、という負担金のことです。世界の空は一時期の激安バスと同様、異常な供給過剰で低価格傾向まっしぐらですから、一回うん十万円という負担は、飛行機会社から見ると大変な負担なわけです。そんなカネを負担するぐらいなら、韓国・シンガポールに行ったほうがいいやって具合に、世界の航空会社は考えているというわけです。
●じゃあ日本は一体どうすりゃいいかっていうと、そりゃお客さんに来てもらったほうがいい。飛行機がこなきゃどうにもならないから。まず来てもらうことを考える。東大の伊藤教授に言われなくたってそんなことは簡単にわかる理屈です。運営費が足らないなら、激増する民間収益からの税収増でまかなうような方式を考えるべきでしょう。何だか固定的に費用ばかり眺めちゃって、儲かる話との兼ね合いでもの考えるって思考回路が官は弱いからね。あと、当然のことながら、各空港は、国土交通省とか日本航空あたりの天下りを受けたりしないこと。今まで猛烈な護送船団だったから、得体の知れない天下りがどの会社見てもゴロゴロいるじゃないですか。朝からパターゴルフしてる役人崩れができるのは、得体の知れない官との調整だけです。
●そうやっていろんな国の人に来てもらう。中国に限らず、ロシアとかインドあたりの飛行機会社にも着てもらって、まず市場を作っちゃう。地方の空港で生き残れそうにないところは、プライベート・ジェットに特化するとか、機体を小さくしちゃうとか、いろいろ個別に工夫するしかない。それでもだめなら、閉鎖も考える。それでいいでしょう。”アジアの駅前大通り”をつくるぐらいの勢いで、やってかないことには、日本はゴーストタウンになるしかないのですから。